幼馴染の君と

【チョコじゃないのかよっ】

つまり、「チョコなんか嬉しくねえ」が本当だと思っているって事だ。

現に、ここ10年ほど、俺は仁美からチョコをもらっていない。
小学校の低学年くらいは「男子にはあげる」的なところはあるから、その流れでくれていたんだろう。

俺も「もらって当たり前」だった、それが本気の「愛の告白」だなんて微塵も思っていない。チョコを何個もらったなんて自慢をしたいくらいだったろうと思う。

「どうせ一個ももらえないくせに」

全くその通りの事を言われて、俺は完全に無視した。その事実を突きつけられたら、泣きたくなるわい。

でも、チョコ、か。

たかがチョコ、されどチョコ。

校内でも頂点に君臨するイケメン達は、もらったチョコを敬う気持ちもないだろう、もらって当然なんだから。一個ももらえないなどとは想定もしていないに違いない。
17年の人生で、両手の指の数で数えられるほどしかもらっていない男の気持ちなど、理解できないだろう。

それは女子とて。義理チョコにも満たない『ついでチョコ』すら準備する余裕はないようだ。

そんなに食いたきゃ自分で買えばいい、そう言い聞かせて俺は何年も2月14日を迎えている。

今年もたった一個のチョコももらえないのだろう。