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「つまり、前々から計画されていたことだったというわけか……。」    脳裏に焼きついた“ラクシャーサ”の驚異的な身体能力がフラッシュバックする中、レオン・シュルツ特殊部隊司令官はつぶやいた。クローン兵部隊編成に使用されるオリジナルの選別は、かなり前から行われており、その結果“ラクシャーサ”が選ばれたということなのだろう。幸いにして映像で見たクローン兵部隊は皆、実戦投入するにはまだ若い。 「はやめに潰しておかなければ大変なことになるだろう。」  M国のクローン兵部隊計画が発覚したことを受け、統合参謀本部会議が開かれた。レオン・シュルツ特殊部隊司令官は会議に出席し、クローン兵部隊のオリジナルである“ラクシャーサ”の脅威について触れ、さらにM国のヒトのクローンを作出するという計画の非倫理性を猛烈に非難した上で、計画が進行中の島を爆撃することを主張した。 「確たる証拠もないうちに行きすぎだろう。」  D国の方が軍事力で上回っているとはいえ、M国は強国である。クローン兵部隊編成計画にしても、現段階では可能性の高い推論に過ぎない。そんな状況で爆撃など行ってしまえば、世界中の国々から非難を受け、大変なことになる。当然のように会議は紛糾した。
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