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そうして、大雅はこれまた無遠慮に人の手の甲にキスをしてから言う。
なんていうか、大雅はキス魔なのだ。
多分、きっと。
私の動揺なんてお構いなしに、隙さえあればキスをする。
「困らないでよ。
私は年齢的に対象外なんだから、仕方ないじゃないっ」
本当に、今日の私はどうかしている。
次から次に秘めた想いを口にしてしまう。
それはきっと、大雅があまりにも切ない瞳で私を見つめるからだ。
ズルい。
大雅に惚れている私は、どうやったって彼に勝つことなんて出来ないのだ。
「じゃあ、年齢的に対象だったら、私と結婚してくれますか?」
……これって、私を窒息死させる遠まわしの殺人かしら?
そう疑わずにはいられないほど、真っ直ぐな眼差しで大雅が私を見つめてそんなことを聞いてくる。
「そそそそそそ、そんな仮定したって仕方が無いじゃない。
無理なものは無理なんだから。
いいもん、私は一生大雅の妹で居てあげるんだからっ」
そう。
それが、悩みに悩んで私が決めたポジションなのだ。
優しい大雅はきっと一生「妹」である私を大事にしてくれるに違いない。
それでも、いいやって。
悩みに悩んで、ちゃんと決めたんだから。
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