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……マズい。
15歳という若さにも関わらず、息が切れてくる。
麻薬中毒だと思っていたあの男は、意外と健常なようで、足音がすぐ近くに迫ってくる。
狭い路地をあっちへこっちへと走っているうちに、私は段々ワケが分からなくなってきた。
それが証拠に。ついに。
気づけば、私の目の前にはバカ高い壁が立ちはだかってしまっていたのだ。
……何、コレ・・・
やむなく私はくるりと踵を返す。
それに気づいた金髪の男の口許に、にやり、と鼠をおいつめる猫のようないやらしさを湛えた笑みが浮かぶのを見て、全身が粟立つ。
その時。
「弱いものいじめは、止めておいたほうがいいんじゃない?」
と、頭上から、聞きなれた声が降ってきた。
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