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今日は2月14日。 俗に言うバレンタイン・デーというやつである。 放課後、俺は今か今かと心待ちにしながら椅子に座っている。 いつもそそくさと帰るのに。 30分後、誰もいなくなった教室でまだ俺は座っていた。 学校から出ない限り、まだまだ可能性は大いにある。 すると誰かが教室に入ってきた。 隣のクラスでそこそこ可愛い女子だ。 なんとこっちに近付いてくるではないか! 俺は興奮を必死に抑え込みながら、クールにスマホ画面に指を走らせる。 誤ってエロサイトを開いてしまったため慌ててスライドして消し、冷静にチョコレートを差し出されるのを待つ。 「あのさ……」 来たァァァ!! 爆裂寸前のMyハートを手厚く抱き締めながら振り向く。 「な、なに?」 チョコレートを渡されるのを知っているくせに、わざとらしくクエスチョンマークを展開する。 我ながらクソ演技だ。 視線を落とすと違和感に気づく。 両手に何も持っていないのだ。 いや視線を落とさなくても、すでに違和感は顔面から顕著に表れていた。 「お前にチョコ渡すやついないから」 「……えっ?」 一瞬、時が止まった。 なにを言われているのか理解できなかったが、すぐに意味を把握できた。 追い討ちをかけるようにメッセンジャーは口を開く。 「普通に考えてみ? 普段、女子はおろか同性とも仲良くできてないお前に魅力を感じてチョコ渡す女なんていないから」 「……ですよね」 2月14日、バレンタインの日。 渡されたのはチョコではなく、引導でした。
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