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第四話 おしゃべりカラス
マオは圧倒的に俺を支配した。
啼き過ぎて嗄れた声で喘ぐ俺の喉仏を甘く噛んで、どうしたい? と聞くマオの背中に爪を立てながら
「マオ、に喰われた、い」
と答えて意識を手放した。
目が覚めた時、マオは見慣れた人間の姿に戻っていて、ベッドの側の椅子に腰をかけて本を読んでいた。
俺の視線に気付くと優しく微笑んで、すぐに傍に来て髪を撫でてくれた。
「ごちそうさま、紫苑」
「ぅ、え、お、お粗末様でした?」
とっさの返しにマオが声をあげて笑った。
「とんでもない。とても美味しかったよ?」
甘い声に甘いキス。
頬を包む温かく大きな掌に胸がときめく。
「紫苑、その目は反則だ」
「え? っん……あぁ、マオ……」
「んー? マオでも良いが……本当の名は柚葉だ。呼んでみて?」
「ゆずは?」
「そうだ」
ゆずは、と嗄れた声で繰り返す俺に
「良いね。紫苑に呼ばれる名は特別に聞こえる……」
と微笑んで、優しいキスを与えてその隙に胸の突起を親指で軽く押す手首を慌てて掴んだ。
「待って……マオ……ゆ、柚葉、まだ声に妖力込めてる?」
「いや? もう込めていないよ」
じゃあ、なんでこんな、ゾクゾクドキドキが止まらないんだ!?
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