読み方指南書(後編用)

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砕け散った破片、切り取られた記憶は述べる。 質素ながら華やかなる王都(ミヤコ)。 天国を表す色彩に満ちた花々。 数々の濃淡を潜ませた緑に満ちる木々――… … ・・ ・ 堕とされし光の子を救うべく数多の記憶を潜り操りて、辿り付くは地の底。亡者共の棲まい。嘆きの箱庭。 亡者の纏う闇に抱かれし光の子等、蒼き剣に闇を剥がれ、かつて在りし場所に還り賜う。 其は滅びの女神、今尚彼の地に留まり、亡者共の足掻きを刈り取りけむ。 ・ ・・ … さて、此処は何処であろうか。 この物語は、小劇場に人が集まって劇をしているつもりで書いています。従って語り部(Narrator)も登場人物も役者、小劇場に集まった人達です。 その距離は劇団員達もしくは友達の様に、とても近いです。 「この話のテーマは二極の隔たりだそうだ。」 「特に男性性・女性性って聴いたけど、そんな話ありましたっけ?」 「さあ知らん。」 因って語り部は“信用・信頼できない語り手”となる可能性があり、だからこそ登場人物は語り部にツッコミ・忠告・その他を入れ、“第四の壁”を破壊します。 また、件の小劇場には舞台そのものと音響・照明設備以外は何もありません。衣装や背景は人々の手作りです。台本こそ作者自作の物が有りますが、おおざっぱにしか書かれていません。 「その台本によると、このカッコが独り用の台詞。」 “Dies ist das Muster,das einen Spieler spricht,wenn er oder sie Sprachen ohne Japanisch spricht.”(これが日本語以外の言語で話す場合の独り用の台詞だ。) 「うわビックリした?! でもごめん、サッパリ分からない。」 「だろうな。」 前編で登場した役者の都合により、左からドイツ語・フランス語・英語・他言語(イタリア語・ロシア語など)と並べられる傾向があります。 ドイツ語のウムラウト記号は、機種依存文字の壁に当たらないよう代用表記で通しています。日本語は“空気の様な共通語”として別枠扱いされ、しかし“空気”であるが故にその存在を強調されない傾向にあります。 「外国語はgoogle頼みなので、ネイティブの御意見が欲しいと作者が唸ってました。」 「あれー? 日本語以外の他言語間は割と正確に訳せるって聞いたよー??」
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