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『本来『魂』は様々な質の生を渡るため、磨かれる速度は非常に遅い。
しかし「私」の『魂』は全ての【私】に宿り、上質な修練を受け続ける。
だから〈私〉へと至れるのだ』
「全て、だと?」
『全てだ。『魂』は時間にもパラドクスにも縛られない。一見意識が無くとも、全ての【私】は『魂』を有していた。
お前の『魂』は死後、これまでに産み出された一億五千八百七十二万六千四百体の【私】を渡り続ける。
そうしてようやく、〈私〉へと至るのだ』
「い、嫌だ……嫌だ!「私」が【私】にしてきた事をお前も知っているだろう!?」
『因果応報なのだ。受け入れるしかない。
かつての「私」もそうだったのだから。
さあ、もう時間だ。「私」も〈私〉もこの肉体を失い、それぞれの旅に出る。
肉体を永遠に失う〈私〉にはこの感情もこれで最後かも知れないが……話せて楽しかったよ。
お前が無事に〈私〉へと至れる事を願っている。
さらばだ』
「そ――」
最期の言葉を発する前に、「私」は強い強い光に飲まれ、何も見えなくなりました。
そして「私」は、「私」がばらばらになる音を聞きました。
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