「私」の願い

15/15
前へ
/15ページ
次へ
 前回の【私】は、キャベツの味でした。  酢と塩味が程よく効いて、とてもおいしいザワークラウトだったと思います。  今回の【私】はアスパラガスの味がする予定です。  きっとおいしく調理されることでしょう。けれど。  その次も。  その次も次も。  その次も次も次も。  その次も次も次も次も。  ずっと、ずっと。 「私」は【私】を続けなければなりません。 『工場』で『生産』され、調理の末に世界中の人達に食べられながら。  そして、時折「私」に解体されながら。  すべてはいつかの終わり、〈私〉に辿り着くために。  あと一億千四百七十万九千四百十七回……  あと一億千四百七十万九千四百十六……  あと一億千四百七十万九千四百十……  あと一億千四百七十万九千四百……  あと……  END
/15ページ

最初のコメントを投稿しよう!

4人が本棚に入れています
本棚に追加