ドッグファイターRYO

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しかし、空中戦のそれもそうだが、シザーズはずっと続けていられるわけではない。速度がどんどん落ちていき、いずれは手詰まり(スティルメイト)となって離脱することになる。俺とヤツは正反対方向に離脱し、再び組んずほぐれつの機動を開始する。 状況は間違いなくヤツが有利……だったはず。だが。 ここに来て、ヤツの動きにキレが無くなってきた。 その原因も、俺には何となく見当が付いていた。 おそらく、リアブレーキ、だ。 スーパーセブン160のリアは、ドラムブレーキ。放熱性が悪いためすぐに熱ダレしてしまうが、摩擦部分の接触面積が広いので、初期の制動力はディスクブレーキより優れているのだ。俺と同じように早めに決着を付けるタイプのヤツにとっては好都合なのだろう。だが、ここまで長引くとなると、ヤツのリアブレーキはもうかなりフェードしているはず。だからサイドブレーキターンが今ひとつ決まらなくなっているのだ。 カプチーノは4輪ディスクブレーキ。ドラムブレーキに比べれば対フェード性は高い。というわけで、ここぞとばかりに俺はタイトターンを繰り出しまくり、ヤツから何度もヒットを奪うことに成功していた。 だが、俺の方にも懸念があった。     
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