ドッグファイターRYO

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LVSのルールは単純だが、それでも禁止事項はいくつかある。例えば、クラッシュパッドの手前でテールをそれに向けて静止した場合、相手はどうしてもヒットできなくなる。なので、この状態が3秒続いたら自動的に失格負けとなる。また、一カ所でアクセルターンし続けるのも禁止事項だ。これをやるとリアタイヤが上げる白煙にセンサーが隠れてしまい、ビームが届かなくなる。これも10秒以上やったらその時点で失格となる。 それから物理的な攻撃も禁止である。故意を持って車体をぶつけた、とレフェリーに見なされた場合は失格負けだ。路面に油や撒菱を撒いたりするような妨害行為は反則になり、出場停止など重い処分になる。 参加車両はやはり軽自動車が多かった。とにかく急加速、急減速、タイトターンの連続になるため、馬力があるよりも軽い車体が圧倒的に有利なのだ。中には軽トラで参戦しているようなドライバーもいたが、さすがに重心が高すぎて横転しそうになったりしていた。横転して走行不能になればその時点で失格負けだが、横転の一歩手前の片輪走行は、攻撃をかわすテクニックの一つとして認められている。 大会はトーナメント方式であり、初戦で俺は順当に勝ち上がり、なんと……優勝してしまった。初出場のくせに。おかげで俺のファイトネーム"RYO"――下の名前の「遼」そのまんまだが――は一躍有名になり、「シルバー・イーグル」などという異名まで取るまでになった。元イーグルドライバー(F-15Jのパイロットのこと)の俺にとっては光栄なことだった。 ---     
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