ドッグファイターRYO

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その後も俺は大会で勝ちまくった。相変わらずプライヴェーターだったが、久里原の店の親会社をはじめとしてスポンサーがいくつも付き、経済的にはかなり楽になった。といっても、俺の愛車は相変わらず銀のカプチーノだ。 そして俺は、とうとう全日本選手権に参戦することとなった。今度も場所は、もはや俺のホームと言えるイオックス・アローザだ。 さすがに全国大会となると強敵がひしめいている。それでも強力なメンテナンス体制に支えられ、俺は順調に勝ち抜いていった。 そして、決勝戦。相手は「SEVEN」とかいうファイトネームの、関西出身者らしい。てっきり「ウルトラ警備隊」が出てくるアレなのか、と思っていたが、「SEVEN」のクルマを見た瞬間、俺は全てを把握し嘆息する。 「そっちかよ……」 ヤツの車は、ケーターハム・スーパーセブン。 英国車だ。エンジンに最小限のボディとタイヤが付いた、まさにこの競技のために生まれたようなクルマ。 「アレは黄色ナンバーだな。160だ。エンジンはこいつと同じだぞ。上手くいけば互角の戦いになるかもしれん」 セコンドの久里原が、俺のクルマを見ながら言う。 確かにスーパーセブン160のエンジンは、スズキが提供しているK6Aだ。しかし、カプチーノに載っているそれよりも新しく、メーカーの熟成が進んでいる。別物と言っていい。 しかも。     
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