ドッグファイターRYO

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カプチーノの車重が700kg位なのに対し、スーパーセブン160は500kgを切っているのだ。200kg以上も軽いことになる。 「走る」ことと同等、場合によってはそれ以上に「止まる」能力が要求されるこの競技では、車体の軽さが全てと言ってもいい。馬力を上げればスピードは出るだろうが、止まりやすさ、というものは単純に質量だけに依存する。だから「ドッグファイト」には大排気量のスポーツカーは一切出てこない。スーパーセブンももっと大排気量のモデルがあるはずだが、ヤツがあえて一番馬力が小さく一番軽い160を選んだのは、そういうことだろう。 間違いなく強敵だ。俺は気持ちを引き締めた。 --- ヘルメットをかぶり、俺はカプチーノの運転席バケットシートに収まる。4点式シートベルトを締め、エンジンをかける。排気音(エキゾーストノート)が高鳴る。メーターをチェック。問題なし。俺はそのまま競技フィールドに入り、スターティングポイントに付く。 80メートル向こうのもう一つのスターティングポイントに、ヤツも付いた。アクセルを踏み、回転計の針をパワーバンドに飛び込ませる。 スタート5秒前。レッドシグナル点灯。そしてそれが……消えた! ファイツ・オン!     
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