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眼前に迫る書物の数々。そんな光景が広がる中、俺は何故か目の前の幼女に対し必死に頭を下げていた。
「いや、だからあの、悪気があった訳じゃないんだよ? ただ少しだけ、すこーしだけ盛り上がってる感じだったから何か声かけにくくて……」
「……」
「そ、それになんか、自分以外誰もいないからついついテンション上がっちゃってた感あったからさ。少し間をおいて声をかえようと……って痛い痛い! 悪かったから! ホントに悪かったから! すみません!」
異世界転移早々、何ともついてない展開に、俺はため息をつく間も無く謝り続けていた。
いくら頭を下げて謝罪の言葉を並べようが、幼女は手に持つ分厚い書物を容赦無く投げつけてくる。
それってもしかして禁書とか魔導書とかでは無いですよね?
──なんて聞けるはずも無く、俺はフツフツと煮えたぎる怒りを必死に抑えていた。
どうやら先程の『聞き苦しい詩』は、幼女としては誰にも聞かれたくないものだったらしく、たまたま後ろにいた俺は完全なとばっちりを受けていた。
聞きたくもない耳障りな詩を聞かされた挙句にこの仕打ち。
その上、やはり俺をこちらの世界に「召喚」したのも、この幼女で間違いは無さそうだった。
他に可能性があるのならこんなちんちくりんな幼女では無く、もっとスタイルのいい美少女にチェンジして欲しいところだが、頭の中で何度願っても変わらなかったためこのままなのは確定だ。
そう。たまたまでも何でもない。
俺をこの空間に呼び出したのは他の誰でもない、目の前で喚き散らしながら巨大な書物を投げつけてくる、この幼女なのだ。
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