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どうなってんだ神さま、異世界転生or転移ときたら、まずはとんでもないオプションが配られるもんじゃないのか!?
もしくはめちゃくちゃ美人な女の子が目の前に居たりして、その子が俺を召喚していた──なんてオチがあるのがフツーなんじゃないのか!?
マジでおかしいだろ、俺を召喚したマスターがこれじゃ、聖杯戦争的なの始まったら一瞬の内に殺されて終わりそうなんですけど!
そんなふうに考えを巡らせている内にも幼女の暴走は止まらない。
……なんだろう。なんかすごーく腹が立ってきた……!
「──いッ、いい加減にしとけよこのこけし幼女がぁ!! さっきから下手に出てやってりゃ好き勝手に言いやがって! つか召喚したのお前だろうが! なに召喚したばっかのヤツ殺そうとしてんだ、召喚した責任とってちゃんと俺の世話をしろ!! ほらまずは俺の名前から呼んでみようか。『キリカ様』か『キリカおにいたん』か、お前の好きな方を選べ。今なら両方選べるぞ? さぁほら、呼べ。……呼べ!!」
「なにをさっきからワケのわからんことを抜かしておるんじゃこの戯けが! 誰が呼ぶか!!
……我が一生懸命、毎日毎月本を読んでは描き続けた召喚術式が、よもやこんな戯けを呼び寄せてしまうなんてっ……! もういい! 死ね! 一回死んでもう一度やり直させろ! 今度はもっとカッコよくて強そうで頼りになりそうなのにしてくれ、神よ! こんな戯けは一度だけで十分じゃ!!」
「戯けはお前だぁぁぁ!! 今一度自分が言った言葉を反芻してみやがれちんちく幼女がぁ!!」
「はぁぁぁ!? いま、いまなんと言った!? ちんちくじゃと!? この育ち盛りのこれからという我に対してちんちくじゃと!? このッ……! やっぱ死ね! 一度と言わず二度三度死ね!! というか今死ね!!」
……こうして、頭に完全に血が登った俺たちの言い争いは数十分に渡り繰り広げられ、後に部屋へと入ってきた老人の手により強制的に諌められた。
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