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俺とマイもそれにならって椅子に座る。
キョロキョロと辺りを見渡すと、いくつもの本があちこちに無造作に置かれていた。
何とも魔導師っぽい部屋だと感動していると、いつの間に用意したのか、小さなカップを二つ差し出していた。
「まぁゆっくりしていきなさい。ここで会ったのも何かの縁じゃ。少しばかり話を聞いておきたい。君と……マイ。お前にもじゃ」
「……」
差し出されたカップを受け取りながら、ニコニコと優しげな表情の裏には恐ろしい形相をした「鬼」がいることを再確認したのか、マイと呼ばれた俺を召喚した幼女は視線を俺へと向ける。
おいこらクソ幼女。この後に及んでまだふざけた言いがかりでもしてくるつもりか?
睨みつけてくるマイに対して、こちらも負けじと睨み返していると、マイは途端に弱気な表情を浮かべ、目線を下へと下ろした。
「……別に、話すことなんて何もない 。ただ我は『冒険者』になりたかっただけじゃ。
そのためにはまず『パーティ』が必要だから……」
「マイ……まだ諦めておらんかったのか」
言いにくそうに口を開くマイの姿に、やっぱりかと言わんばかりに頷くマユリカ。
以前にもこういったことがあったのだろう、マユリカの瞳には怒りでは無い、親が子を思う優しい瞳だった。
……というより、やっぱこの世界にも『冒険者』っつーモンはあるんだな。なんか益々ゲームやラノベっぽくなってきたぞ。
異世界転生してる時点で、いずれはそういうイベントが起きるとは思っていたけど、これはもしかすると早々に『冒険者になる』イベントが発生するか……!?
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