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1人でにワクワクする気持ちを抑えられずにいる俺を余所に、マイとマユリカは深刻そうな面持ちで会話を続けていた。
「……マイ。前も言っただろう。お前は冒険者になるには何もかもが足りなさすぎる。冒険者になるには、お前の有する無尽蔵な魔力だけではどうにもならん事がある。体力もいるし、魔物と戦うには武器も必要じゃし、何より立ち向かう勇気もいる。もちろん一人で冒険は厳しいものじゃから、人と人との繋がりが重要になる。中には悪い人もおるじゃろう、そういった人間を見極める目も必要になってくる。……マイよ、お前にそれが出来るのか?」
「そんなもの……! まだ、冒険に出てないからわからないけど! それでも我ならばできる! やってみなければわからないじゃろう! それに、以前読んだ本には『出来ないと決めつけてやらないのは馬鹿のやることだ』って書いてあったし……!」
「考えも知識も無しに飛び出してゆくのも、馬鹿のやることじゃよ。良いかマイ。この世界にある四大陸の中でも、今ワシらがおる『東大陸』は魔物の出現率がかなり大きい。それにこの地はかつての魔王が君臨していたこともあり、魔物共の力は並のものでは無い。いくら魔王が死んだからといって、魔物共が朽ち果てることなど……」
「ちょ、ちょちょちょ……待って! ちょっと待って! え、嘘だろ? 魔王がもう死んでる!?」
突然会話に割り込んできた俺に驚いた表情を向けるマユリカとマイ。
いやいやいや、驚いてんのはこっちなんですけど。こっちとしてはかなりの死活問題なんですけど……!
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