第一章1ー1「共に冒険に出よう!」

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 ……ということは、なんだ?   俺はこの世界に来て早々に役目を終えたということになるのか。  魔王は倒され、勇者は既に存在していて。    だったら何かめっちゃつえー魔物でも倒して! とか考えてたらドラゴンは魔物じゃなく神聖な生き物で討伐依頼は無い……。  魔王討伐もドラゴン退治も、ファンタジーRPGや異世界転生もののライトノベルじゃよくあるものだが、それらの要素が一気に失われてしまった。  もちろんそればかりでは無いことはわかるが、別に料理が得意な訳でも無いし現代知識を使って畑耕したり城建てたり国作ったりして──なんてものも、そもそも知識が無けりゃ無理なワケだし。  ヤバいどうしよう。なんか泣きそうになってきた。  見たところチート魔法も無さそうだし、体にも特にこれといった変化も無い。  そういえばラノベとかによくあった「死んだ後で天国みたいな場所で神さまと話す」イベントが起きていないな……。ってことはまさか、俺ってばホントに何も持たずにこの世界に召喚されたってことか?  ただただ幼女に召喚されて終了。    いやいや、あまりにもあんまりじゃありませんか、神さま?   なんかこう、一言いってくださいよ。それか何でもいいんで特殊なスキルとかくださいよ。 「俺、この先どうすりゃいいんだろう……」  魔物を倒すばかりがファンタジーじゃないのはわかってる。  けど、何の知識もないヤツがこの世界で開拓していくっつーのも無理な話だ。  何か一つでもオプションがあれば、少しでも励みになるというのに、全くと言っていいほど何も持たずに来てしまった俺の今の装備品は、学校指定の制服(紺のブレザーとズボン)、中に着込んである白シャツくらいのものだ。
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