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「生と死よ。主と神よ。今こそ我の元に異ノ人となる者の魂を、我が血と肉と骨の内へと繋たまえ」
──それを『詩』と認識するまでに、俺の意識はしばらくの間朧気なままだった。
暖かく燃える暖炉の音。
パチパチと火花が跳ね、懐かしさすらも感じさせる音の方へと目を向ける。
オレンジ色に輝く部屋の中、うっすらと赤く揺らめく炎が視界に写り込む。
「んぅ……?」
朦朧とした意識がはっきりとするまで、俺はその場で倒れ伏す以外に何も出来ずにいた。
そりゃそうだ。
目を覚ましたら見ず知らずの幼女がボソボソと呟きながら、暖炉に燃える炎を前に、よくわからない詩を口ずさんでいるんだから。
こんな意味不明の状況の中でアクションを起こせるヤツなんて、残念ながらこの場にはいない。
いるのなら、ぜひ挙手して出てきてもらいたい。
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