プロローグ「グッバイ退屈。ハロー非日常」

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 まず一つ。今俺の目の前にいる一人の幼女。  赤く揺らめく炎の手前に、暖炉の火に向かい一人ボソボソと小さく詩を口ずさむ、黒髪のおかっぱヘアーをした幼女の後ろ姿を、炎の灯りによって照らされている瞳へと焼き付ける。  後ろから確認できるのは、真っ黒なマント……ではなく、ローブのようなものを着ていて、頭には幼女の頭ではまだまだ大きすぎる魔法帽を被っている。  まるで魔法使いのような見た目の幼女は、普通に動いている俺に気付くことなく、詠唱なのか何なのかはわからない詩をうたい続ける。 「現世と今世の狭間に在りし異ノ世よ。その固く閉ざされた扉を開き、我が眷属となりうる者を、今こそ我に与えたまえ」  炎を前にし、必死に詩をうたう幼女の姿はこちらに大きな影を作り、幼女の体も炎と同じように揺らめいている。  その必死な様子から目を離さずにいられない俺は、詩の内容について違和感を覚えずにはいられなかった。
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