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そう。ただの『願望』。
先程から聞こえてくる幼女の詩には違和感があると言ったが、たった今それがハッキリとわかった。
「神よ。嗚呼神よ。異ノ世に住まう偉大なる神よ。どうか、どうか我に与えたまえ。都合の良い異ノ者を。我と共に冒険に出てくれる、都合の良い者を、我に与えたまえ……!」
詩の内容は完全には理解できないけど、『我に与えたまえ』『都合の良い者を』と、先程から神様に物をこうてばかりで自分からは何一つとして返そうと言う気持ちが一切込められていないのだ。
それがこの世界では一般的なのかもしれないが、これはどう考えてもおかしいだろう。というか何だ『都合の良い異ノ者』って。
「──って、待てよ? 都合の良い、『異ノ者』……?」
俺はそこまで呟いて、心につっかえていたものがスっと無くなった感覚を得る。
……なるほど。何となく見えてきた気がする。
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