惹かれる心

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最初は教科書が水で濡らされていた。 最初は雨でも降ったっけ? だなんて能天気に思っていたが、立て続けに伊達眼鏡を壊された。 壊れたメガネを取りに行くと河野にまたからかわれた。 でも別に俺は構わなかった。 どうせ100円均一で買った安物だったし、かけた方が目が疲れたし。 しかし、だんだんと分かりやすくなって行く嫌がらせに俺は反撃した。 「なあ、言いたいことあるならチマチマやらないで直接俺に言えば?」 「は?別になにもないけど。なに?なんかあったの?」 こいつ、こういう奴だよな。 さも、自分は何もしていない。 「被害妄想しちゃってんの?」みたいな態度で俺の勇気を空回りさせる。 「あ、そーだ。 山本にノート返しておいてくれる?」 俺の足下に投げられたノートはカッターでズタボロに切りつけられていた。 「…っ気に入らないなら俺に直接したらいいだろ!山本を巻き込むなよ!」 「へぇ~。相当、山本が気に入ってんだな。そうだなぁ。….じゃあ、教室で山本にキスして見せろよ。そしたら、二度と山本に手ぇ出さねぇよ」 こいつら最低だ。 でも、俺が山本に興味を持ってしまったばかりに、山本に被害が及ぶことの方がもっと最低だ。 俺が山本に嫌われることで、コイツらが満足するのならば、仕方がないことだった。
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