僕が君を守るから

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俺と山本は遅刻して学校に入った。 一限が終了するチャイムを聞いて教室に入った。 まず俺が先頭切って教室に入るといきなり河野が大きな声でからかった。 「おいおい! 遅刻してくるなんていいご身分だよなぁ!」 クラスのみんながクスクス笑う。 あー、もう既に帰りたい。 「え、だれだれ?」 「誰?転校生?」 「いけめん~」 俺の後から入ってきた山本を見て女子が色めき立った。 教室の入り口付近でたじろぐ俺の背中をポンポンと押して席に促した。 そして二人で特等席に座るとそのイケメンが山本明人だと気づいたクラスは面白いくらいどよめいた。 「はぁ!?山本!?詐欺だろ…」 「イケメンだったの…」 山本をチラリと見ると飄々と、我関せずといった表情で次の授業の支度をしていた。 俺も慌てて机の中の教科書を出そうと手を突っ込むと手に痛みが走った。 「痛っ!!!」 手を机から出すとスーと赤い血が指先から流れた。 机を覗き込むと刃を全開に出したカッターが手を確実に傷つける角度でうまい具合にセットしてあった。 流れる血を見ていたら、心がポキっと折れるような音がした。 「…かして。」 山本が血が出た俺の左手を掴むとポケットティッシュをサッと出して止血してくれた。 山本がゆっくりと俺の机の中のカッターを取り出すとそれを持って河野たちの所に近づいていった。 「ねぇ、これってさ、傷害罪だからね。」 「はあ?なにが?俺たち何もしらねぇから。な?」 山本はカッターの刃を全開に出して河野にズイっと近づいて喉仏に切っ先を向けた。 「人の身体に傷までつけて、それも知らねぇってお前らどんだけレベル低いんだよ。 お前ら見てるとさぁ、反吐がでるよ。 ………次、真田雄大に何かしたらコレ、マジでお前の喉に刺すからな。」 「…ヒッ」 そう言ってカチカチとカッターの刃をしまった。 「…と、ちなみに、黙ってたけど僕テコンドーやってるから。 カッターが無かったら、首、回し蹴りでへし折ってやるからな。」 そう言って俺の方に山本が戻って来た。
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