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「明人って明るい人って書くよね」
あ、これは以前暗かったよねって言っているみたいかな。
「名前負けしてるだろ?」
「いや、そんなことは」
「いいんだよ。自分でもそう思うし。
今まで色んな事を見て見ぬ振りしてきたり、極力外界と関係を持たないようにしてきたんだ。
雄大が僕にキスするまで。」
「えっ」
俺は心臓が急にどきりと高鳴った。
「本当は、雄大がイジメられてることすらもどうでもよかったんだ。
でも、雄大が隣の席に来て、挨拶を毎日してくれて、僕の生活に雄大っていう枠ができた。
教科書見せてあげたり、消しゴム拾ってくれたり、ただそれだけのことだけど、僕には特別だった。
…雄大がキスしてみんなから笑われてるのに、雄大は僕にごめんって言ったんだ。
僕はそのときこの気持ちが確信に変わったんだ。」
「そ、そんなこと言ったら!俺だって!!
ぁ明人が、夏休みに音楽室でピアノ弾いてたの聞いて…
それから明人のこと気になって、明人と友達になりたいなーって思って。
勇気出して席隣にしてもらって、毎日少しずつ挨拶返してくれたり、俺の方こそ…友達になってほしいなって気持ちが…」
「え?友達?」
え、違ったかな。
「僕はね、雄大、」
寝転んでいる僕の上に床ドンして、覆い被さるように明人が近付いてくる。
「君のスパダリになりたい。」
「す、すぱ?」
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