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雄大のお母さんが雄大の部屋に行った直後、雄大からラインが入った。
『迎えに来てくれてありがとう。
でも、しばらく迎えは来なくていいよ。
遠回りだし、少し一人で考えたい。』
これはもう本気で距離を置く感じなんだと僕は肩を落としてうなだれた。
学校に行くと今まで声かけて来たことないような女子が挨拶してくる。
「あ、山本くん、おはよう。」
「おはよう。」
少しぎこちない笑顔で応える。
こんな引きつった笑顔なのにキャーキャー騒いで目を輝かせる女子たちはなんて下品で浅はかなんだろうと思った。
僕の気も知らないで。
相手の気持ちなんて考えないで勝手に盛り上がって勝手にどうせ飽きていくんだ。
僕はハッとした。
それって雄大における僕なんじゃないか?
勝手にスパダリになるだなんて息巻いて、雄大の優しさに事欠いて、キスなんてして…
キャーキャー騒いでいる女子の方がまだマシかもしれない。
雄大の気持ちを一番無視していたのは僕だったのかもしれない。
僕は、靴を履き直して学校の玄関を飛び出した。
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