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明人は悲しそうに笑っていた。
「ごめん、ごめんなさい!
俺、正直、わからないよ・・・」
明人が背後で何かつぶやいていたような気がするが、走って逃げてきてしまった。
嫌いじゃないよ。
嫌いだなんて思うはずがない。
ドンッ
玄関で人とぶつかってしまった。
「キャッ!」
げ、この人は昼間明人を呼び出したけどすっぽかされた人だ!
「!、…山本くんといつも一緒にいる…」
「ご、ごめんなさい!すみません!」
「私もボーっとしてたから、ごめんなさい。…じゃあ…」
「あの!」
俺はつい、その人が身を翻して帰るのを呼び止めてしまった。
「え?」
「あ、えっと…、な、んでもないです…」
「………山本くんと、喧嘩でもしたの?」
「え!?あ、んー、いや、そういう訳では…」
「きみ、分かりやすいね。…じゃあ、話聞こうか?」
その人は玄関のホールから見える中庭のベンチを指差して薄く笑った。
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