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俺は自分の靴を見ながら登校していた。
歩道橋を登りながらふと、明人に思いを馳せた。
俺は今まで、一人で歩けたことなんて無かった。
単独行動イコール仲間はずれみたいで、怖くて、一匹狼とか格好つけてても、腹のなかでは本当は悔しがってんじゃないかなって思ってた。
でも、彼は違った。
真っ直ぐ、ただ自分だけを信じて自分の足で歩いていた。
優しく見せて、強引で、柔らかいようで、頑なで、掴めるようで掴めない男だった。
俺のために、河野たちに啖呵を切ったときも俺の手を引く手が少し震えていた。
俺に初めてキスしたときも耳が真っ赤だった。
「ばかじゃないの」
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