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ガバリと明人が強く俺を抱きしめた。
「あきと、あきと、苦しい。
…あと、ロマンチックだけど、周りの視線が痛いからあっち行こう?」
場所を歩道橋降りた先の公園に移して二人でベンチに腰掛けた。
「昨日、明人に告白すっぽかされた三年生の女子に言われたんだ。明人が必要かどうか試したらいいって。」
「え?は?なに?だれ?そいつ、は?」
「そう、言われてさ、俺瞬時に、明人が隣にいなかったらどうしようって思ったんだ。
それで、気づけたんだよ。
あー、俺ってもう、明人なしじゃいられない体になっちゃったんだなーって。
だから、その人には感謝。」
「え、じゃあ、今朝のラインの意味は…?」
「いや、ほら、気づいたら気づいたで、どんな顔して会えばいいのか…、しかも、なんか昨日の別れ際に誤解を生むようなこと言っちゃったし…どうしたらいいかわかんなくて、また酷いこと暗に言ってしまいそうで、」
「…そんな、赤面でもなんでも見せてくれていいのに…僕嫌われたんだと思ったからさ、もう、土下座でもしようかなってくらいの、」
「本当にごめん!その、素直に、なれなくて…」
顔が紅潮して恥ずかしさから顔を隠した。
「ちょ、なに顔隠して…、こっち向いてよ!」
「やだ!!見せない!」
「あ!!そうだ!キスしていい?」
「はっ!?今の流れで?」
「うん、だってキス、我慢してたから。」
明人の本気(やる気)スイッチ入ると温度がかわる。
まったりとした明人の取り巻く空気が澄んで、ピリッとした空気になる。
「ちょ、マジ?」
「マジ、マジ。大マジ。」
腕力で俺の腰を抱いて明人の方に体を引き寄せられた。
「いい、けど…、俺、こういうのは経験ないから、どうなっちゃうかわかんないよ?」
「え?前にもキスしたじゃん!」
「いや、あれは不意打ちでしょ?」
「そう?」
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