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明人が言葉を発する度に近づいて最後に「しー」と言うと唇にキスをした。
午前中、誰もいない公園。
車の走る音と、時期外れに蝉の鳴き声がした。
唇を離すと明人がとろけた様な顔をしていて可愛いかった。
「…もっかい、する?」
「…する、」
箍の外れた俺たちは、お互いの唇を吸い合い嬲り、感じた。
明人。
明人。
明人がこれほどウブで可愛らしいことを、俺は気づかなかった。
「かわい」
かっこよくて、完璧な彼は、スパダリとして演技していただけなのか。
「…待って、待って、あれ?雄大、アッ、ちょっ、あれ、キャラ、ちが、ふあ、アー…」
高校生ですし、思春期ですし、男の子ですから。
「…どうなるかわからないって言ったでしょ?」
蝉の鳴き声が一層大きな音に聞こえた。
「雄大、雄大…すき。…ん」
俺のスパダリは、ちっともスパダリじゃなかったけど、俺の特別にはなったかな。
「…明人、俺んち、帰ろっか。」
「賛成!」
このあと俺たちがどうなったかはご想像にお任せしますが、俺たちは母の出掛けた誰もいない家に引き返したのだった。
END
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