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◇ ◆ ◇ ◆ ◇
かすかなざわめきが鼓膜を揺らし、ぱちり、とエルカは目を覚ました。押し寄せる眠気にあらがい、目元を手でこすりながら、ゆっくりと体を起こす。
そこはいつもの部屋だった。上は三十、下は十一までの人々が何十人も体を寄せあって、薄くてボロい布切れを体に被せて眠るためだけの部屋。今現在も早起きの数人を除いて、多くの者が互いに体を温めながら眠っている。
それはエルカの隣も同じで。
ぼんやりとした頭で、エルカは自らの両隣で眠る二人を見た。右にいるのはロット。一つ年上の十四歳の少年で、短い赤茶色の髪が床の上にパラパラと散らばっていた。何か嫌な夢でも見ているのか、ウンウンうなり声を上げている。
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