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少女が時を超えて糖度四十を誇るプレミアムバナナを持ってきたこの時代、人工の薬品添加物など存在しない。それ故にゴリラ達はその弱い毒ですら免疫を持っていない為、命を落とした。
少しでも世界の動物さん達が、お腹いっぱいになればいいなという、少女の慈愛の精神が仇となったのだった。
『時をかけるゴリラ』前編
※本作品はノンフィクションである。
***
「はい、前編はここまでだぁ。それじゃあ感想を聞いていくぞー。阿部どうだった?」
悲しい前編の結末に生徒達の表情は暗い。
「ゴリラさんも少女も可哀想……」
みんなを思いやれる女子クラス委員の阿部は言葉を詰まらせていた。
「そうだよなぁ。可哀想って意見もあるよな。じゃあ瘡蓋丸どうだった?」
次に坂口が指名したのは、クラス一わんぱくな瘡蓋丸少年だ。
「そんなん結果的にゴリラ殺したんだからさぁ、その眼鏡が全部悪いに決まってんじゃん! マジありえねーウホー。ギャハハ」
嫌な笑いの誘い方ではあったが、クラスのムードメーカーである瘡蓋丸がふざけると、殆どの生徒がつられて笑った。
一人の少女を除いて……。
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