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「あたしにもちょうだいよー」と坂口に糖度四十を誇るプレミアムバナナをねだった。
「わかった。わかったよ! みんなの分もあるから焦るなぁ」
坂口は教壇の上に、大量の糖度四十を誇るプレミアムバナナを並べた。
それに群がる生徒達。
その光景は、まるでゴリラの群れのようだった。
一見すると無茶苦茶なことをしているように見えるが、糖分をしっかりとってから勉学に励む事はとても合理的だったし、何よりも生徒達とのこの距離感が、坂口と生徒の間に絶対的な信頼関係を生み、授業を円滑に進めるのであった。
「よし、みんな食べ終わったなぁ。それじゃあ今日の道徳の授業は『TKG』についてだ。みんなこれがなんの略かわかるかぁ?」
「たまごかけごはーん」
「たまごかけごはん」
「テクニカルキンタマゴエモン」
「こんにちは僕ドラエーモン」
「たまごかけごはん」
「玉ねぎかけごはん」
「たまごかけごはん」
「たまごかけごはん」
坂口の問いに生徒達は我先にと大きな声で答える。
坊主頭の田辺。女子クラス委員の阿部。クラスのムードメーカー、わんぱく小僧瘡蓋丸。そして眼鏡少女、時尾かけ子といった個性豊かな面々も声を張り上げている。六年三組の生徒達は、大変元気が良くて素晴らしい。
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