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戸惑う彼を見かねた少女は、ジェスチャーでトイレットペーパーの使い方を教えた。十八歳以下には見せられない姿だ。いや、このあまりに破廉恥な姿は、十八歳以上であっても見てはいけない姿かもしれない。
ここでも彼の能力の高さが存分に発揮された。ジェスチャーで教えてもらったとはいえ、初めて見るトイレットペーパーを完璧に使いこなし、あろうことか残りのトイレットペーパーの先端部を三角に折り曲げて、次に使うゴリラが気持ち良く使えるように配慮したのだ。
この適応力とモラルの高さに少女もビックリした。なぜならこんなこと人間にだってそう簡単にはできはしないのだから。
「ウホッウホホホッ」
すっかり心を許した彼は、少女と意思の疎通を図ろうとした。
「なんて言ってるんだろう……。困ったなぁ」
当然ゴリラの話す言葉など少女には分からない。少女は暫く考え込んだ。
そして閃いた。
自分もゴリラ語を話せばいいのだと。
「ウホピョッウホホピョッ。こんな感じで大丈夫だよね」
少女はゴリラ語で『あたしは未来人なの』と伝えたつもりだった。
元々黒い彼の頬が赤黒くなった。そして両手で顔を隠しながら恥ずかしがっている。
そんな彼の姿を見て少女は『可愛いゴリラさん』と思った。
「ウホピョピョッウホホッ?」
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