クラスメイトの住む地区に伝わっていた、奇妙な風習とは…?

3/5
前へ
/5ページ
次へ
なに、病気じゃないって、ズル休みなの?って質問したら、ちげーよ、うちの方の『風習」なんだよって。なにそれ意味わかんないからと質問したら、そいつ、面倒くさそうな顔をしながら、こんな話を始めたんです。 そいつんちの家のある集落には、およそ不釣り合いな規模の立派な寺があり、いつ頃からか、そこの代々の住職がある時期になると、獣のような声を張り上げながら、真夜中に集落を徘徊して家々の玄関の戸を狂ったように叩くそうで、何事かと戸を開けた家からは、必ず死人が出るそうなんです。住職の方は、その時期が過ぎるとまた元に戻るが、なぜそうなってしまうのかは誰も知らないそうです。 そのお寺の宗派では、血縁的な因縁祟りが原因ではないかと、世襲制を止めさせて別の土地から坊さんを呼び寄せ、その寺の住職に据えてみたものの、結局その坊さんも、例の時期が来るとおかしくなってしまったそうです。 それは決まって九月十五日と、その前後の三日間に渡って起こるので、いつしか集落ではこの時期になると、日没と共に雨戸を締め切って家に閉じ籠り、住職が玄関先で名前を呼んでも扉を開けないという自衛策を取るようになったのですが、ある年、集落の中学生が徘徊する住職を見ようと二階の自室の雨戸を開いてしまい、死んでしまうという事件が起たんだそうです。
/5ページ

最初のコメントを投稿しよう!

8人が本棚に入れています
本棚に追加