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「亮輔さん」
「何?」
「あの時はなんか生意気なことを言ってすみませんでした。小学生なのにかなり上からで……随分ませた子だったと思います」
亮輔さんは首を横に振った。
「確かにおませさんだったかもしれない。だけど俺は君の言葉に救われたのは確かだよ。だから親父との生活もなんだかんだと楽しく暮らせたんだから」
少しでも役に立てたならよかった。
でもちょっと待ってよ。腑に落ちないこともある。
「でもちょっと面白くない」
「え?」
「何でそういう風に思っていたのなら一度くらい私に会いに来なかったんですか?すごく感動的な感じに仕上げてるし、それこそ私の好きな漫画のような感じに仕上がってるけど……でも面白くない」
「お、おい?芽衣?」
うれしいけどむかつく。
「だって、もっと早く会っていればこんな遠回りなやり方をしなくたって
私は……」
「私は?」
「きっと好きになってた」
そうよ!私の成長とか亮輔さんの年齢差とかそんなのどうでもよかったのよ。
もっと早く会っていればお見合いなんかしなくたって私はきっと好きになってた。
私の言葉に亮輔さんはばつが悪そうに頭を掻くと大きなため息をついた。
「そうだよな」
自分のやってきたことをすごく後悔している様だった。
「そうです。もったいないです」
「もったいなかったな」
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