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「で?いつから付き合ってんの?」
空になったジョッキを置くといきなり本題に入ってきた。
「ちょっと前に課長と一緒に歩いてる女の人を調べて欲しいって
私に言いましたよね。すみません。実は私だったんです。あの頃からお付き合いしていました」
四宮さんは深くため息をつくと生中のおかわりを頼んだ。
「まーいいわ。多分、課長があんたに告白とかして付きあったって事よね」
す、するどい。
「はい。でも実際はお見合いなんです」
その言葉に四宮さんの動きが止まった。
「お見合い???」
「はい」
私は今までの経緯を話した。
全てを話し終えると吉野さんの顔が険しくなった。
「そう言うことね。でも嘘はよくない」
「すみません」
「確かに私たちも過剰な行動を取り過ぎてたと思うわ。でも、抜け駆けでも何でもないでしょ。元々は課長があなたの事好きだったんだからどっちにしても勝ち目なかったのよ。だから堂々としてりゃーよかったのよ。……って私がそうさせなかったのかもしれないけどね」
どんな理由だろうと騙したことには変わりない。
「そ、そんな臆病な自分がいけなかったんです」
「あーあ。あんたのどこがよかったんだろ~~顔もスタイルも私の方が絶対上なのに……やっぱり性格?でも課長がダメとなれば次の手を打たなくっちゃね」
切り替え早いしストレートな言い方に何も言えなくなった。
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