あなたが私を好きな理由

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私の知ってる課長はイケメンで社内一のモテ男。もちろんお客様からの人気も半端ない。 私とは別世界の人。 キラキラしてる。 苦労なし。 というのが課長の印象だが、そんな答えが欲しいわけではないことは鈍感な私でもわかる。 要は好きか、嫌いか。気になるか眼中にないか……そういうことだろう。 だけど本当に考えたことがなかった。 というより私にはかっこよすぎて眩しくて、恋愛対象にしてはいけない人だった。 「いきなり考えろと言われてもそれは無理です。私にとって課長は上司であり恋愛対象ではなかったんです」 「なぜ恋愛対象ではないんだ」 「私とは真逆じゃないですか。かっこよくて、仕事もできて。女性にも人気で……大げさかもしれないですが手の届かない人なんです。今は私の上司だから話をしたりしますが、多部署だったらきっと話すこともなかったでしょう」 ここまで言えば課長も私のことを好きだなんて言ったことを後悔するはず。 だがそうはいかなかった。 課長は急に立ち上がったかと思うとなぜか私の隣の席に勢いよく座った。 なぜ隣に座る必要があるの? すると私の横でわざとらしく大きなため息を吐いた。 「なんだろうね?お前っていつも自分に自信がなさそうにして、自分を悪くいうんだよな」 何をいうかと思えば今度はお説教? でも仕方がないじゃない。本当のことなんだから。 私が黙っているとさらにため息をついて話し続けた。 「何が真逆なんだろうな。自分ことわかっているようで全くわかっちゃいないんだな。芽依は」 「わ、わかってます」 「いやわかってないね。俺はお前よりも人を見てきているからわかるんだよ。誰に対しても明るく、 みんながやりたがらない事も文句言わず引き受けちゃうところや、気配りができるところ。お前のいいところなんていくらでもあげられるぞ」 課長の真っ直ぐな目に冗談を言ってないことがわかる。
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