初カレの取説

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初カレの取説

……眠い……寝不足だ。 いつも通りに出社したが体が重いし気も思い。 お見合いを断るつもりでいたのに課長の猛アプローチに頷く以外の選択肢がなかった。 とは言え、お見合い相手が同じ会社で同じ部署、おまけに上司で逃げ場がない。 ずっと片思いだった人と両思いになったというのとは訳が違うから、複雑だ。 今日からまた大きな催事が始まる。 自分の部署関わる祭事となるとみんな少し早めに出勤する。 私のいる事務所は部長を始め主任までのデスクがあるので彼らがくる前に出社するようにしている みんなが来る前に窓を開け、履き掃除と机を拭くのが日課になってる。 次長の机を拭き終え次に原田課長の机を拭こうとして手が止まった。 昨日、この机に座ってる人とお見合い・・っていうのは名ばかりで 実際は告白されてあれよあれよとお付き合いすることになったんだ。 未だに信じられない…… あれから帰宅後すぐ、母と薫から立て続けに電話があった。 母からは案の定 『だからいったでしょ~~断るわけないっていうか断れないわよね~~あれは』 全てお見通しというか監視カメラで見ていたんじゃないかって疑いたくなるような言い方だった。 今だからわかるがあれは絶対グルだったんだ……そうに違いない。 私がどれだけ事の経緯をきいても 『話が長くなるからまた今度。今日は疲れてるだろうし、明日は仕事だしさっさと寝ちゃいなさい』 相変わらず言いたい事だけ言って勝手に電話切られたが熟睡できるわけがない。
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