168人が本棚に入れています
本棚に追加
「おはよ」
突然、耳元で囁やかれ、驚いて振り向くと課長がいつの間にか私の真横に立っていた。
「お、おはようございます」
耳をおさえながら挨拶をした。
「なんだ?そのリアクションは……」
耳をおさえたのが気に食わなかったのか少し顔がムッとしている。
私は周りに誰もいないことを確認する。
「リアクションって……いきなり耳元で囁かないでください。心臓に悪いですよ」
「別に?挨拶しただけだし……ってか何顔赤くしてんだよ。これくらい慣れろよ」
「な、慣れません」
実はこれに似たシーンを昨夜漫画で読んでいたのだ。
もちろんこの後の展開はあんなことやこんなことばかりでって思い出す自分もどうかと思ったが……
「あっそう。でも俺の机の前で何ボーっとしてたからさ。もしかして俺の事考えてた?」
「何言ってんですか!それにここ会社ですよ」
どこでだれが見ているかわからない。課長はわかってないかもしれないがここは敵だらけ。
「いや、それはわかってるよ。それよりもここ俺の席。カバンを置きたいんだけど」
あ!すっかり忘れてた。
「す、すみません!」
慌てて机から離れて隣の主任の机を拭く。
あーはずかしい。
「今日、早番だよね」
カバンからファイルを出しながら仕事モードで聞かれた。
誰が見てるかわからないから私も事務的に答える。
「はい。そうですが何か?」
「わかった。ところで、この伝票の控え外商の増田課長に渡してくれ。今日、10時には出るそうだ。大至急ね」
そういって伝票を渡された。
忘れるとまずいのですぐに書類を入れるボックスに入れようとするとお役様控えの伝票にメモがくっついていた。
そこには
携帯の番号とメルアド、そして……
『芽依へ
今すぐ登録し、ワン切り空メールよろしく。 仕事が終わったら食事に行こう』
書類にメモって
なんかこれってマンガの定番シチュエーションじゃん。
最初のコメントを投稿しよう!