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買ってきてくれたご飯はすべて食べきった。
すると課長は胸ポケットから煙草をちらりと見せた。
吸っていい?ということなのかと思いうなずいた。
そして煙草に火をつけるとゆっくり吸って大きな煙を吐いた。
「あのさ、うちは社内恋愛禁止じゃないけど……公にしたくはないんだよな」
「はい」
私は即答した。
「俺は公にしてもいいと思ってるけど……ちなみに嫌な理由は何?」
「課長は知らないと思いますが、私が課長と一番近い部下だってことでとにかく知ってる人も知らない人も私に根掘り葉掘り聞いてくるんですよ」
「何を?」
「例えば課長と綺麗な人が歩いてたら、あれは彼女なのか?とか課長の姿が見えなかったりすると、休みなのか?出張なのか?とかとにかく聞かれるんです。私は課長のマネージャーじゃないのに」
私は口を膨らませた。
すると課長は何か思い当たる節があったのか納得するように頷く。
「なるほどね。ってことは俺の好みもわかってるってことか?」
「わかりますけどそれは周りの圧に耐えれるように観察しただけです。他意はないです」
好きだから好みを覚えたとは思われたくない。あくまで便宜上のと。
「それでも俺のことをよくわかっているのならそれはそれでいいことだ」
あ?何を言ってもポジティブなのよね。
やっぱり自分に自信のある人ってすごいな。って思ってしまうが私は課長とは違う。
「とにかくばれたりしたら大変なんです。当分は内緒ってことでお願いできませんか?」
「当分とはどのくらい?」
「え?それは……未定です」
課長は何も答えず煙草の煙をふ?っと勢いよく履くと、吸殻を携帯灰皿にいれるた。
そしてそれをポケットにしまいこむと立ち上がった。
まさか怒った?
未定なんて相手には失礼だったかな?
するとなぜか手を差し伸べてきた。
これって手を繋げってこと?
戸惑いながら課長を見ると目が手を繋げ止めが訴えていた。
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