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すると小野寺主任がニヤッと笑った。
「そうだ!吉野さんも俺たちと一緒にお昼食べない?今日はこいつのおごりだし!」
課長の凛々しい眉が歪んだ。
「何でおれがお前におごらなくちゃならねーんだよ。奢るなら吉野だけだ」
「ああーひでーな。俺はお前の可愛い部下だろ?」
なんだか漫才を見ているみたいだ。
「何がかわいい部下だ!かわいいのは吉野だけ」
何気にすごいことをいう課長だが、エレベーターを待っている他の女性社員の目が怖い。
「あ、あの漫才はそのくらいにしてください。それに何気に私を引き合いに出さないでくださいね」
最初は3人で食べてもいいかなって思ったが周りの冷たい視線が突き刺さるので1人で食べようと決めた。
エレベーターに乗り食堂のある10階で降りると、課長たちとの距離を取ろうと先へ急く。
「吉野さん待って!席こっちだよ」
私を呼んだのは小野寺主任だった。
能天気な呼び声に断る理由が思いつかなくて、ほぼ強制的に3人で食事をすることになった。
だがはっきりいって生きた心地はしなかった。
四宮さんのことを聞くチャンスもなく、お昼を食べ終えると私は事務所。
課長たちはそのまま会議室へと向かい、結局何も話せないまま退社時間になってしまった。
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