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「な、何するんですか?」
慌てて両手で耳をふさぐ。
顔はゆでダコの様に熱い。
「何って、黙っていれば名前を呼ばなくていいと思ってるんだろ?そんなのバレバレ」
う??やっぱりバレてたんだ。
「芽依」
またも耳元で囁かれた。息がかかり、全身がぞくぞくする。
「もう!耳元でささやかないでください!」
「じゃあ、黙ってないで呼んでみてよ」
「亮輔さん!」
これで文句はないでしょう!と言わんばかりに呼んだ。
だが……反応がない?
「亮輔……さん?」
「やっつけ感溢れてる。名前を呼ぶときはもっと愛情込めてこういうんだよ……芽依」
またしても耳元で囁かれた。
ここまでくると意地悪にしか思えない。
「もう耳はやめてください!」
「なんで?」
「くすぐったいんです」
「くすぐったいんだ・・・他には?・・・例えば全身がぞわそわーって・・・しない?」
なんでわかるの?
わかっているならやめてほしい。悔しくて真っ赤な顔で亮輔さんを睨むとくすっと笑った。
「ごめんごめん。ちょっと意地悪しすぎたな。でも名前で呼ばないとペナルティーだからね」
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