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総務経由で検品に行き次長の荷物を受け取った。
そして事務所に戻ろうとエレベーターを待っていると肩を叩かれた。
振り向くとそこには四宮さんがいた。
「こんにちは」
「こんにちは、吉野さん」
四宮さんはいきなり私の腕を掴むとエレベーター横の社員用の階段の踊り場で手を離した。
「ねえ、例の件わかった?」
私との距離を縮める四宮さん。顔が近ずぎる。
「聞きましたよ」
四宮さんの目が鋭くなった。
「で?誰よその女!」
「人違いって言われました」
亮輔さんの言った通りに答えた。
だがそれをすんなり聞き入れるはずなどなかった。
「そんなの嘘よ!」
はい嘘です。なんて言えるわけがない。
「嘘って言われても、課長からは人違いだ。それにそんなに暇じゃないと言ってましたよ」
少し話を盛ってみた。
だが、四宮さんは腑に落ちない様子だ。
「本当に?あんないい男そう滅多にいないから人違いとかあり得ないんだけど」
思いっきり信じてない顔してる。
「そう言われましても……」
下手なことを言って墓穴を掘りたくない私は必要以上の言葉は控えた。
「あなた本当に原田課長本人から聞いたの?」
でも全く引き下がる気配のない四宮さん。
「聞きましたよ!信じてないなら直接本人に聞けばいいじゃないですか?」
私より課長の方が弁がたつだろう。聞けるものなら聞いてって気持ちで思いをぶつけた。
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