社内一のモテ男

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社内一のモテ男

今日から1週間、8階催事場で北海道大物産展が始まる。 この催事場ではいろんな催し物を開催するが、この北海道物産展は一番人気で、開店からたくさんの お客様が来店する。 私の仕事は1つ下の階の庶務だ。 売り場には出ず、裏方の仕事なのだが、物産展やお中元、お歳暮の時期になると応援のため狩り出される。 今回はお昼休憩の間だけposに入ってほしいと事前に連絡を受けていたのでお昼休憩が始まる10分前に 8階催事場に行ける様に急いで仕事に取り掛かった。 毎日、総務に行くのだが、今日は少し早めに行こうと席を立った。 「今日は早いなー」 声を掛けてきたのは同じ部署の営業課長原田亮輔。 30歳という若さで早くも課長。 甘いルックスとモデル並みのスタイルで社内一のモテ男とも呼ばれている。 もちろん彼を狙ってる女子社員は数多いが、彼のハートを射止めた女子社員は未だいないらしい。 実はこの上司のおかげで私はかなり苦労をしている。 同じ部署でしかも庶務担当。 仕事柄事務所にいることが多いので課長と接することも必然的に多く、他部署の女子から課長に一番近い女子といわれている。 そのためいろんな人から課長がらみの頼みごと受ける。 課長はやさしいし決して嫌いではないが、女子社員からの頼まれごとには正直うんざりで、いい加減結婚でもして落ち着いてほしい。 「今日から催事の応援部隊なので……」 「そうだったな~~いつも悪いね。じゃー今から総務行くのか?」 「はい。ちょっと早いですが、早めに用事を済ませたほうが何かと楽なんで」 書類を入れた布バッグを肩にかけ事務所を出ようとしたら応援のお礼の前倒しにコーヒーおごるよといって隣の休憩室へと私を促した。
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