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プロローグ
小学生の頃の私はとにかく漫画が大好きでお小遣いのほとんどを月刊少女漫画雑誌につぎ込んでいた。
主人公のほとんどが自分より年上の男女だった。
どんな不利な立場でも絶対と言っていいほどハッピーエンド。
ヒーローの甘いセリフとドキドキのキスシーンに胸がぎゅっと掴まれる感じが心地よくて少女漫画は私の心を鷲掴みしていた。
そんな私は数々の漫画を読んでは
「きっと中高生になったら漫画の様な出会いがあって恋に落ち、キスするのね……キャー」
と決めつけていた。
だから中学生になったからもれなく彼氏ができると思い込んでおり、恋愛ありきの考えしかなかった。
サラサラの髪が夕日に映え、スポーツで流す汗すらもきれいなものに見えてくる。
はにかんだ笑顔がまぶしくて私の鼓動は相手にわかっちゃうんじゃないかってほどドキドキして……
なんてことは一度もなかった。
黒髪短髪でキラキラというよりも黒々している。
スポーツで流す汗はやっぱり汗なのできれいと感じることもない。
はにかんだ笑顔とすれ違うことも全くない。
そして男子は漫画のヒーローの様にやさしくない。
漫画で言う脇役だらけでヒーローの素質を持った人は皆無だった。
だけど私は諦めなかった。
中学生なんてまだまだ子供。
やっぱり本格的な恋愛は高校生になってからよ。
と気持ちを切り替えた。
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