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それをいいことに、真面目クンはロープの端を握ってぐいぐいと俺の体を引っ張っていく。
「ちょっ、待てや! おい!」
不良を縛り上げて引っ張っていく様はとても目立つ。声を荒げる俺と、聞く耳を持たない真面目クンが通りすぎるのを、ぎょっとしたように見つめる他の生徒。
まじやめろ。勘弁しろよ。こんな風に目立ちてぇわけじゃねぇ!
俺はそのまま三年の教室の、恐らく自分のクラスまで引き摺られ、これまた恐らく自分の席であろう場所に縛り付けられた。
「てめぇ、こんなことしてただですむと思ってんのか!」
「黙れ。今日は容赦しないと前もって言っておいてやっただろ」
容赦しないってこういうことかよ。俺の暴言も平然とした様子で言い返してくる。怯えた様子なんて微塵もない。むしろその様子を見ている他のやつらの方がビビった空気を放っている。うざったい。
「おとなしく座ってろ。授業の邪魔したら許さないからな」
「けっ、今度はなにするつもりだよ。このロープでつるし上げでもする気か?」
「そうか、それもいいな」
そういった真面目クンの顔は恐ろしいほどに楽しげだった。こっわ。なにこいつ。ヤバイ。
チャイムが鳴って入ってきた担任がぎょっとした顔をしたのを見逃さなかった。途端オドオドしだし、逃げ出したいオーラを放ちながら教壇にたつ。
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