真面目クンの名前は

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真面目クンの名前は

「あっははははは! 洸くんがいってたこと、ほんとだったんだ! うける!」  目の前にやって来た、爽やかイケメン優男がケラケラと大笑いを始める。めちゃくちゃ不快なんだが。  昨日、さんざんな目に遭ったから、今日はサボる場所を変えた。にもかかわらずあいつがやって来て例のごとく縛り上げて連れてこられたのがさっき。  ばれねぇように早めに来て隠れてサボるつもりだったはずが、早々に見つかって連れてこられたから、この状態でクラスメイトを迎えるはめになった。入ってきたやつは「またか」みたいなげっそりした顔をして見ると慌てたように視線をそらして自分の席につく。  隣の席のやつも全くこっちを見ることはない。清々しいほどだ。  だったのに、この男と来たら入ってきて俺の姿を見た途端に近づいてきて指差しながら大笑い。めちゃくちゃ腹立つ反応をされた。 「あー、笑った! さすが沖村くん。容赦ないね」  一頻り笑って満足したのか、目元に浮かんだ涙を拭いながら呼吸を整える。どんだけ笑ってんだよ。 「えと、二ノ宮琥太郎くんだよね。眞白輝っていうんだ。よろしく」 「は?」 「あ、ごめん。それじゃあ握手はできないか」  爽やかに笑いながら手を差し出してハッとしたように引っ込めた。あの真面目クンの回りには変人しかいねぇのか。  わざわざ絡みに来るとか、とんだ物好きだな。
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