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「誠がいるし。最近、結構仲いいんだよ」
「へぇ」
それは、恋人としての余裕なのか。そうやって信じてやれるのは、それほど洸のことを好きだからなのか。ちなみに、誠というのは、笹塚誠といって、元々は眞白の友人だった。眞白と洸の関係により近づいた仲ということだ。
聞いてみたいが聞いたところで、反吐が出そうなほどの甘い台詞が飛んでくるに違いなかった。
それに、例えそうだとしてもどうだというのだ。こいつはこいつ、俺は俺なのだから。馬鹿馬鹿しい。
進級してもう三日がたった。すっかり日常になりつつある三年の日々。しかし、いつまで経ってもひとつだけある空白の席は埋まることがなかった。
「沖村! ちょっといいか!」
「はい」
HRが終わり、それぞれに帰宅や部活へ向かう人たちの中で担任に呼ばれた。少し頼りなさそうなひょろっとした四十代の男の担任。面倒事が嫌いで、人に押し付けるのが茶飯事だ。
面倒だと思いつつも、三年になってもまた委員長になった自分なのだから、呼び出しには応じなければいけない。隠れて息を吐き出しながら、担任についていった。
職員室までつれていかれ、担任の席なのだろうお世辞でも整頓されているとは言いがたいその席にどかっと座ると、俺に向き直った。
わざわざここまで来て聞かないといけない話とはなんだ。
苛立ちを覚えながらも、相手は教師だと抑える。
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