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「お父さんの好きな色とか、好きな雰囲気のものってなにかある?」
宿題やら勉強ばっかしていた七月。八月に入っていい加減外に出掛けようと繰り出したショッピングモールで俺は沖村と苦戦していた。
おっさんたちには世話になってるし、なにかお礼でもしたらどうだと沖村に言われて、それもそうだとなにか買って帰ることにしたのだが、なにがいいのか皆目見当がつかない。
一応、残るものでってところまでは決めて、雑貨屋に入ってみたのだが・・・・・・。
「知らねぇし、そのお父さんっての、なんかこっぱずかしいからやめろ」
「でも、お父さんだろう」
「い、今までそんな風に呼んだことねぇし」
父親だって知ったところで、それまでおっさんって呼んでたし、今さらお父さんなんてめちゃくちゃ恥ずかしすぎんだろ。
じゃあ、なんだ、親父? いやいや、なんか親近感近づいてねぇ?
おっさんも、別にそう呼べって言うことはないし、おっさんで事足りる。
「照れ臭いんだな」
「わ、悪いかよ!」
「可愛い、と思っただけだ」
こいつは、ことあるごとに人を可愛い呼ばわりしやがって。
出掛けようって思ったのだって、こいつんちで勉強してるといつのまにかそういう雰囲気になって毎回ヤられるって流れがいつの間にかできてしまったからだった。
絶倫野郎恐るべしだ。
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