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「夜、なにが食いたい」
「・・・・・・なあ、あの、うち来るか?」
もう一つ、考えてたことがある。
いつも、沖村んちに通ってた。
「いっつもさ、お前んちいってただろ。智子さん・・・・・・おっさんの奥さんにさ、いつも同じ友達のところにいってるのかって聞かれてさ」
「ああ、恋人のところって言わなかったのか?」
「い、言うかよ!」
顔が熱い。
「で、でな。そうだって言ったら、いつもお邪魔するの悪いから、うちに呼んだらって。夜ご飯つくって待っててくれるっていってんだ。だから・・・・・・」
「そうか。ありがたくお邪魔しようかな」
沖村の返事に、ホッとする。断られたらどうしようかって思った。
沖村んちはいつも親いねぇし。だから気兼ねなくていい。沖村的にそういうのが大きいんだったら、智子さんがいたら気を遣うだろうかって。
「琥太郎のうち、楽しみだな」
「お、俺んちっていうか・・・・・・」
「お前んちだろう」
「・・・・・・ん」
少しずつ、ぎこちなくとも家族になれてる気がするんだ。おっさんとも。お父さんとも親父とも呼べねぇけどでも。たしかに、距離は近づいてってる気がする。
家族って、こんな暖かいんだなって。俺、知らなかった。
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